日本保健医療社会学会で谷根千CBPRの研究発表を行いました(6月14日)
6月13〜14日に開催された第52回日本保健医療社会学会大会において、「健康はどこで生まれるのか―東京・谷根千におけるCBPRと移動式屋台の社会学的考察」と題した研究発表を行いました。
本研究は、東京・谷中、根津、千駄木(谷根千)地域において2015年から継続してきたコミュニティ参加型研究(CBPR)の成果をまとめたものです。住民、医療職、研究者が協働し、「モバイル屋台 de 健康カフェ」という移動式屋台を用いた実践を通して、人々が日常の中で健康をどのように経験し、意味づけているのかを探究しました。
発表では、健康を個人の属性や数値化可能な状態としてではなく、人と人とのつながりや共在(co-presence)の中で生成される「関係性」として捉える視点を提示しました。谷根千の路地や寺院、銭湯、古民家などの文化的空間が、人々の出会いと対話を支える基盤となり、屋台という「モノ」の存在が自然な交流を生み出していたことが明らかになりました。
また、活動が長く続いた背景として、「健康のため」といった明確な目的を前面に出さず、誰もが気軽に参加できる「曖昧な招き」や、「真剣な遊び」とも呼べる自由な関わりが重要であったことも報告しました。医療とアート、地域生活の境界を越えながら育まれたこうした関係性は、現代都市における新しい健康生成(salutogenesis)の実践として位置づけられる可能性があります。
当日は多くの参加者から質問やコメントをいただき、健康やウェルビーイングを「関係性のコモンズ(relational commons)」として捉える視点について活発な議論が行われました。今後も、地域住民とともに健康やケアのあり方を探究する実践と研究を続けていきたいと思います。(孫)




