「みえる事例検討会」からの気づき
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社会の高齢化が進み、高齢者のみの世帯や独居世帯が増えていく中で、医療・介護によるサポートの重要性は日々高まっています。多くの支援者の方々が日々努力を重ねておられますが、それでもなお、解決が困難な事例は少なくありません。
支援が困難となる背景には、「多くの疾患を抱えている」「金銭的な問題がある」「周囲との関係性に問題を抱えている」など、さまざまな要因があります。そのため、ひとつの職種や事業者だけで十分な支援を行うことは難しく、多職種が連携しながら課題の解決に近づいていくことが重要になります。
日野町健康福祉課・地域包括支援センターの皆様のご尽力により、日野町では「みえる事例検討会」という多職種参加型の検討会が開催されています。これは全国各地で行われている事例検討の方法で、経済面や生活面、周囲との関係性など、さまざまな視点から浮かび上がった課題をホワイトボードに書き出し、それを参加者全員で共有しながら、「次のステップをどうしていくか」について意見を出し合っていくものです。
私もこの検討会に定期的に参加させていただいており、主に医師の立場から意見を出しています。
参加していると、地域での生活を支えるためには、医療・介護・行政に携わる方々はもちろん、本人や家族、友人、近隣の住民の方々など、実に多くの人が関わっていることがよく分かります。そして、その中で医師が担っているのは、サポート全体の一部にすぎないということを痛感します。
医師は医療行為を通して、患者さんが抱える疾患に関わる部分をケアしています。しかし、医師が関わり始めるよりもずっと前から、介護・行政のスタッフの方々や、本人の周囲にいる方々が、生活の中で生じるさまざまな問題に向き合っています。私はこの検討会に参加することで、そのことをより深く知るようになりました。そして、医師による医療行為や判断が、必ずしも本人や家族が抱える困り事へのベストアンサーになるとは限らないということも、私にとって大きな気づきでした。
以前、認知症が進み、ご家族との関係がうまくいかなくなっている方について検討したことがありました。私はそのとき、その方に自宅とは別の生活環境へ移っていただくことを一つの選択肢として考えていました。それが本質的な解決とは少し異なることは分かっていましたが、現実的には仕方がないのではないかと思っていました。そのとき、別の参加者から出たのが、「本人と家族がまた仲良くなれるように、レクリエーションの場を設けてはどうか」という意見でした。
その言葉を聞いたとき、私は「それこそが自然な考え方なのかもしれない」と感じました。同時に、自分自身が知らず知らずのうちに、医療という職業の中で身につけた考え方に強く影響されていることにも改めて気づかされました。
もちろん、だからといって自分の考え方が180度変わるわけではありません。それでも、自分とは異なる立場や視点から出される意見を聞くことで、物事の見え方が少し広がったように感じています。地域で生活する方々を支えていくためには、医療だけで答えを出そうとするのではなく、それぞれの立場から見えていることを持ち寄り、一緒に考えていくことが大切なのだと、改めて教えていただく機会となりました。
<みえる事例検討会の様子>

Author:今岡慎太郎
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