南砺市民病院職員向けに医療倫理・哲学に関するオンライン講演を行いました(6月18日)
6月18日に、南砺市民病院(富山)の職員を対象としたオンライン講義「そもそも『よい医療』とは何か?―価値観と倫理の基本」を実施しました。
講義では、臨床現場で日々直面する倫理的ジレンマを題材に、「何が正解か」を求めるのではなく、「誰にとって、何を大切にするのか」という価値観を整理し、多角的に考えることの重要性についてお話ししました。
具体的には、義務論、功利主義、徳倫理、ケアの倫理という4つの倫理学の視点を紹介し、それぞれが臨床現場でどのような意味を持つのかを、身体拘束や外来診療など身近な事例を交えながら考えました。また、近年の医療倫理では、自律を個人だけのものではなく、人との関係性の中で育まれる「関係的自律」として捉える視点や、不確実な状況の中で最善を探究する実践知(フロネーシス)の重要性についても紹介しました。
最後には、「価値を見える化すること」「4つの倫理的レンズを用いて多角的に考えること」、そして「関係者との対話」を組み合わせることが、よりよい臨床判断やプロフェッショナリズムにつながることをお伝えしました。
医療には一つの正解がない問いが数多く存在します。だからこそ、倫理や哲学は医療現場から離れた学問ではなく、日々の臨床を支える実践的な「思考の道具」であることを、参加者の皆さんと共有できた貴重な機会となりました。
このような機会をいただいた南砺市民病院の皆さまに心より感謝申し上げます。(孫)




