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163月 2026

血液疾患診療における「困りごと」を可視化する ― プライマリ・ケア医へのアンケート調査論文が掲載されました

このたび、当講座の研究成果として、血液疾患(特に血液腫瘍)を診療するプライマリ・ケア医(PCP)が、紹介・フォローアップの場面で直面している課題を明らかにした質問票調査研究が Yonago Acta Medica に掲載されました。

本研究では、日本プライマリ・ケア連合学会(JPCA)のメーリングリスト登録医師を対象に、Webベースの無記名アンケート(2023年2月、回答期間4週間)を実施し、臨床経験3年以上の医師からの回答を分析しました。

【研究のポイント】

①紹介されやすい疾患・診断として、悪性リンパ腫、骨髄不全、骨髄増殖性腫瘍などが多く挙げられました。

②フォローアップに関しては、専門医へのアクセスの制約、役割分担の曖昧さ、情報共有・コミュニケーション不足が繰り返し課題として示されました。

③自由記載の質的分析からは、専門医不足、高齢患者の治療・フォロー判断の難しさ、そして「相談しづらさ」などの心理的ハードルが、連携を阻む要因として浮かび上がりました。

【血液内科領域ならではのポイント】

①疾患の経過が個別性が高い(→標準化しにくい)

血液疾患は症例ごとの臨床経過が多様で、ガイドラインだけで完結しづらく、血液内科医とPCPの双方向コミュニケーションが望ましい領域です。

②再発監視”を前提にしたフォローが必要

PCPがフォローを担う場面でも、再発に常に注意する必要があるため、困ったときに血液内科へ相談できるアクセスが重要になります。

③専門医不足・偏在が、そのまま診療のボトルネックになりやすい

近隣に「相談・紹介しやすい血液内科医がいない」回答が一定数あり、質的分析でも専門医不足が障壁として示されています。

血液疾患診療では、専門的治療と地域での継続ケアが交差します。そのなかで本研究は、物理的な資源不足だけでなく、“相談の入り口”や“情報の受け渡し”に関わる障壁が、連携の質に直結していることを示しました。

【文献情報】

Imaoka S, Son D, Hamada T, Taniguchi S.
Questionnaire Survey on the Challenges and Questions Faced by Primary Care Physicians When Providing Care to Patients with Blood Disorders.
Yonago Acta Medica. 2026;69(1):43–54.

doi:10.33160/yam.2026.02.005(Online published 2026 Jan 21)

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