アート対話で共感を育む ― Visual Thinking Strategy(VTS)ワークショップの実践研究が掲載されました(2月4日)
このたび、当講座の研究成果として、対話型鑑賞=Visual Thinking Strategy(VTS)ワークショップを用いた共感性育成に関する研究が、Yonago Acta Medicaに掲載されました。
本研究では、医学生3名および総合診療専攻医3名を対象に、約1か月間にわたり計8回のVTSワークショップを実施しました。オンラインと対面(美術館や公共空間)を組み合わせ、アート作品を前に対話を重ねることで、「何が起こっているか」「なぜそう思うか」「他に何が見えるか」を探究しました。
量的評価では、日本語版IRIおよびJSEを用いて前後比較を行い、Perspective Taking(視点取得)やEmpathic Concern(共感的関心)の次元を中心に、小〜中程度の向上傾向が認められました。
質的分析では、①臨床観察力の深化、②共感・視点取得、③コミュニケーション、④多様性への寛容、⑤自己認識、⑥文化的感受性、という6つのテーマが抽出されました。アートには「正解」がないからこそ、他者の視点を受け入れ、自らのバイアスに気づき、意味を共創するプロセスが生まれます。
医学教育において共感性の低下が課題とされる中、アートを媒介とした対話は、従来のコミュニケーション教育を補完するヒューマニスティックなアプローチとなる可能性があります。小規模なパイロット研究ではありますが、日本におけるHealth Humanities教育の実践的エビデンスの一端を示すものとなりました。
今後は、より大規模な研究や長期的フォローアップを通じて、専門職アイデンティティ形成への影響も検討していきたいと考えています。
【文献情報】
Son D, Kamimoto M, Inoue K, Taniguchi S.
Cultivating Empathy through Visual Thinking Strategy Workshops for Medical Students and Residents: A Mixed-Methods Study.
Yonago Acta Medica. 2026;69(1):139–144.
doi:10.33160/yam.2026.02.013



