鳥取の医療人文学フェローシップ 第2〜4回セッションを開催しました(12月14日〜2月8日)
このたび、鳥取大学医学部が実施する医療人文学フェローシッププログラムにおいて、第2回から第4回までのワークショップを開催しました。今回のシリーズでは、「現象学」をテーマに3回にわたる連続ワークショップを実施し、臨床における人間理解を哲学的視点から捉え直す機会となりました。
第2回(12月14日)では、榊原徹也先生(東京女子大学)を講師に迎え、フッサール現象学を中心に、医学が扱う「疾患」と患者が経験する「病い」の違い、そして医療者が自然科学的な視点をいったん括弧に入れ、患者の意味世界に向き合う重要性について議論しました。参加者からは、日常診療で行われている直感的判断や関係性の理解を現象学的に捉え直す活発な意見交換が行われました。
続く第3回(1月18日)では、鞍田崇先生(明治大学)を講師に迎え、ハイデガーの存在論と柳宗悦の民藝思想を手がかりに、日常の道具や生活空間との関わりを通して立ち上がる「親しさ」や「生命的共感」について考察しました。医療の効率性が求められる現代において、患者の生活世界や物との関係性に目を向けることの意義が議論され、医療現場への示唆に富む時間となりました。
第4回(2月8日)は、では、中澤瞳先生(日本大学)をお招きし、メルロ=ポンティの身体論を中心に、身体がどのように世界とかかわり、意味を生み出しているのかを学びました。参加者からは、病院では動けなかった患者が自宅に戻ると自然に動けるようになる事例などが共有され、「生活世界」と身体の関係を臨床的に考える議論が展開されました。
3回のワークショップを通じ、診療の中で当然視している見方や判断を問い直し、患者が生きる世界にどのように寄り添うかを深く考える場となりました。今後も医療と人文学を架橋する学びの場として、本プログラムを継続していく予定です。
(孫)




